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随筆その4
「大鷹森、蟻たちの諍い」

前立腺ドック・PSAドック
棚橋よしかつ+泌尿器科
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2005年2月17日更新 携帯版(http://0028.jp/k)
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     とある夏の日の午後、松島湾の北側に位置する大鷹森に上陸した。
     小高い見晴台に上ると、青い松の枝越しに松島湾の全貌が
     目にはいる。それは、日の光を逆さに受けて、キラキラ、
     ゆらゆらと眩しい。

     海面からふと目を足元に移すと、蟻が一生懸命動き回っている。
     だまって立っているだけでも汗がわき出してくるのに、
     大変だねと思いつつ目を凝らした。

     そのうち、三匹の蟻が何か小さな塊を運ぼうとしているのに
     気がついた。そんなに大きな塊でもないのに、なかなか一定の
     方向に動かない。二匹が押して一匹が引っ張っているようだが、
     ときどき進行方向が変わる。行きつ戻りつ、なかなかうまく
     運べないようだ。

     ややあって、三匹それぞれが、後ずさりしようとしていること
     に気がついた。ひとつの獲物を、三匹がそれぞれ自分のものに
     しようと頑張っていたのだ。一匹が引っ張るとき、他の二匹は
     押しているように見えても、実は引っ張られているだけだったのだ。

     時々、お互いの力関係が入れ替わって、数センチの範囲を
     行ったり来たりしている。その行為は、延々といつまでも続くのだった。

     この蟻たちの炎天下の諍いをじっと見ているうちに、
     はっと我に返った。私達も蟻と同じように、くだらないことで
     諍いをしてはいないだろうか? 意地の張り合いを、しては
     いないだろうか?

     蟻たちの姿を通して、わが身の行いを省みなければと
     諭された夏の日のできごとである。

     (草包庵・棚橋善克)

     (※この随筆は草包庵こと科長の「超音波医学」
     (医学雑誌)編集委員長時代の編集後記を改訂したものです)

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