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随筆その3
「ケニア、ナイロビの夏」

前立腺ドック・PSAドック
棚橋よしかつ+泌尿器科
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2005年2月17日更新 携帯版(http://0028.jp/k)
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     ナイロビは、赤道直下ではあるものの、
     海抜約2,000mの高地にあり夏でも涼しい。

     私の講演の直後に、会議場の壁が約10cm程度数回振動した。
     そのあと、非常ベルがなって、聴衆はあっという間に
     部屋の外に逃げ出した。

     そのすばやさは、なかなかのものであった。
     残ったのは、座長と私と、私の次の講演者のみとなった。
     聴衆が誰もいないので、われわれも仕方なく外にでた。

     みんながいる庭に出て見ると、向うのビル陰から
     もくもくと黒煙があがっていた。

     かのオサマビンラディン氏指揮するテロなのであった。

     翌日午後、街に出た。ところが、ほとんどのお店や
     レストランは閉店している。休日なのかな、と思った。

     さらに幾日かして、アメリカ大使館爆破事件で
     たくさんの人が亡くなったので、その翌日は
     弔意を表して休んでいたのだということを知り、
     一種の驚きと、感動とをおぼえた。

     日本では、そんなことをするだろうか?
     あの忌まわしいオーム教の地下鉄サリン事件の時、
     たくさんの亡くなった人のために銀座のお店が
     休んだという話は、ついぞ聞かなかった。

     日本では、なにか少し遠くで起きたこと、
     いやすぐ近くの出来事でも、自分に関係がなければ
     あまり悲しいとも、思わなくなっているのかも知れない。

     私たち医療関係者も、なぜか死ということに
     少し冷静になりすぎているかもしれない。

     技術の研鑽や研究も大切だ。
     だが、それ以前に、いかに患者さんを助けるか、
     ということの大切さが忘れられてはこまる。

     冷静さはもちろんたいせつだが、それは温かい心に
     裏打ちされていることが大切だということを、
     もう一度再認識させられた、夏の出来事だった。

     (草包庵・棚橋善克)

     (※この随筆は草包庵こと科長の「超音波医学」
     (医学雑誌)編集委員長時代の編集後記を改訂したものです)

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