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随筆その2
「掬水月在手」

前立腺ドック・PSAドック
棚橋よしかつ+泌尿器科
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2005年2月17日更新 携帯版(http://0028.jp/k)
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     「掬水月在手」

     これは、私が卒業した大学の同窓会館に掛けられていた
     土居晩翠の揮毫である。

     有名な漢詩の一節ではあるが、
     「暗い木立の中を散策していると、清らかな泉が湧き出している。
     思わずかがみこみ、そっと掬い上げた両の手のひらの、
     水の面に、月の光がゆらゆらと揺れていた…」
     というふうに、私なりに解釈したい。

     それは、意図してやったわけではなく、そのような自然の
     行為の中に、はっと驚く美しさが秘められていたのである。
     この「5文字」のなかには、自然と共生した生き方と、
     日々の新しい発見とがよく調和・凝縮されていて心地よい。

     私たちが患者を診るとき、特に意図して何かをしている
     というよりは、ごく自然体で仕事をしている。

     でも、受けとる方の患者さんや御家族の気持ちは
     より好意的である。不幸にして亡くなった患者さんの家族が、
     幾年を経ても季節になるとお礼の手紙をしたためて下さるのは、
     涙がでるほどありがたい。本当に、そんなに親切にして
     あげられたのだろうかと恐縮してしまう。

     今の時代は、インフォームドコンセントだ、情報開示だと、
     いろいろ医療界を取り巻く世間の見方も変わってきている。
     でも基本は、意識せずとも自然体で患者と接し、しかも
     要所要所では鋭く患者の望みを察知し、喜ばれるように
     なるのが理想だと思う。

     (草包庵・棚橋善克)

     (※この随筆は草包庵こと科長の「超音波医学」
     (医学雑誌)編集委員長時代の編集後記を改訂したものです)

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