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随筆その12
「お釈迦様の掌(てのひら)」

前立腺ドック・PSAドック
棚橋よしかつ+泌尿器科
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2008年4月1日更新 携帯版(http://0028.jp/k)
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     お正月のある晴れた日、
     松島湾に浮かぶ小さな島に上陸した。

     風もなく、清清しい朝だった。東の断崖に辿りつくと、
     やわらかな海面の向こうで、空と水平線が融合していた。
     草の上に伏して、その神々しい光景に見入っていた。

     ふと眼下の海面を見ると、小船で漁をしている人がいた。
     誰もいない静かな海。無心に竿を垂れる人。
     それを真上から見つめている自分。
     ふと、お釈迦さまの手のひらの孫悟空を思い出した。

     私たちは、日夜、必死に患者さんの治療にあたっている。
     自分たちはとても努力しているつもりだ。
     患者さんも必死でがんばっている。

     でも、もしかしてそれは、
     単にあがいているだけなのかもしれない。

     悪性の病気で思うような治療効果が得られないときは、
     そんな気になってしまう。

     神様が決めてくれたその人の命をほんの少し
     延ばしているだけで、大勢には影響がないのかも知れない。

     ぼうっと考えにふけっていると、いつの間にか
     先ほどの漁師は、新たな漁場を求めて移動を始めていた。

     そうだ、我々も、少しの可能性でも大切にして、
     患者さんともども、目的のために努力しなければいけない
     と気づいたひと時であった。

     (草包庵・棚橋善克)

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